[保護者向け] 子供の初めてのパソコンの選び方 2023
はじめに
以前の投稿「子供から「パソコンが欲しい」と言われた時に、すぐに買うべき3つの理由」では、パソコン(PC)を買い与えるべき3つの理由をご紹介しました。
- 子供が将来就くであろう仕事と地続きのスキルを身につけられる
- PCは子供の幅広い創造性を刺激する最も身近な道具
- ネットの世界の危険性について親子で話すための機会を作れる
今回は、実際のPCの選び方をご紹介します。
子供にパソコンを買ってあげようと思うけど…
PC選びに迷うと、こんな考えが浮かんできますね。
スマホとかタブレットがあるからいいでしょ?
スマホやタブレットの上で動くアプリは、基本的にパソコンの縮小版として作られていますので、出来ることが限られています。また、プログラミングという観点ではごく一部のアプリ*を除いて、ほぼスマホ上でプログラミングは出来ません。
*iOS: swift playground、Pythonista3
スマホやタブレットは「何かを作り出すこと」よりも「既存のコンテンツを消費すること」により重点を置いたものだと言えます。
タブレットを使った学校教育が始まっていますね。これは子供たちにとっての「手軽さ」という観点で選ばれているに過ぎません。
「将来、職場のパソコンがタブレットに置き換わる」と言われたりしていた時期もありましたが、恐らく10年後も今と同じようにパソコンを使っていると思います。
ご存知のように、会社として全社員が使うパソコンを全てタブレットに置き換えるのは簡単なことではありませんね。ハードウェアを交換するだけではなく、会社のITインフラ、業務手順、教育など全てを作り変える必要があり、会社としてそこまでの投資をする価値がタブレットにあるか?と考えると微妙でしょう。
値段の幅が広すぎて、どれを買ったらいいのか…
値段は本当に様々です。
5万円台から20万円台、プロ用のものには100万円以上のものまであります。さらに困ったことに、似かよった性能のPCでもメーカーによってお値段が結構違ったりします。
「お子さんが初めて使うパソコン」ならば、あえて高いものを選ぶ必要は全くありません。
まずは5万円台のものを与えて、数年後に処理能力が不足したら改めてより高性能なものに買い替えてあげましょう。
[最終確認] 本人がパソコンで何をしたいのか、保護者が何を期待するのかを改めて整理しましょう
以下の例のように、本人がパソコンを使ってやりたいことを聞いて、保護者が期待する事とすり合わせてください。
本人のしたいこと
- プログラミングを勉強してみたい
- 音楽も作りたい
- イラストも描けたらいいな
- ゲームやりたい!
保護者の期待
- 就職した時に困らないように、パソコンそのものの操作に慣れさせたい
- 就職した時に困らないように、WordやExcelなど、仕事で使うソフトを覚えさせたい
- 技術の進歩に取り残されないように、プログラミングを勉強させたい
音楽やイラストなど、趣味のためにパソコンを使う中でも、様々な操作方法を覚えることが可能ですし、本人と保護者の共通の目的があるなら、パソコンを買い与えるには十分な理由になると思います。
WordやExcelは、お子さんにとってはきっと退屈なものだとおもいますので、ゆくゆくは学んでくれることと期待しておきましょう。
初めてのパソコン選び
WindowsかMacOSかChromeOSか
まず、どのOSを選ぶかですが、WindowsかMacOSであれば基本的にどちらでも良いと思います。Chrome OSのパソコンが安価で売られていますが、他のOSと比べると機能が限定されています。
日本でのOS別のシェアはWindowsが約70%に対してMacOSが11%と言われています。これは、ネットに上げられている情報量も、身近な詳しい人もWindowsの方が多い事を意味していますね。
また、Windowsでしか出ていないソフト、MacOSでしか出ていないソフトもありますので、お子さんのやりたいことをよく聞いてから選んでください。
Windows 10と11、どっちがいいの?
2023年1月現在、新品として販売されているパソコンのOSのほとんどはWindows 11になっていますが、Windows 10でも2024年10月まで無料でWindows 11にアップグレード出来ますので、あえて最新の機種を選ぶ必要はありません。
Pro、Home、Sモードとかあるけど?
Windows Proは会社で使うことを想定した機能を含んでいます。「お子さんが初めて使うパソコン」であればHomeで問題ありません。
Sモードは、子供向けの廉価なパソコンに設定されている事が多いです。
Microsoftストアからしかソフトのインストールが出来ない(iPhoneのアプリがAppStoreからしか入れられないのと同じですね)という制限をかけているもので、ウイルス感染や教育上のリスクを考慮したものです。
ただ、WindowsにはMicrosoftストアの外側にも優秀なソフトが沢山あります。
Sモードは無料で解除することが出来ますので、お子さんによるソフトのインストールに不安があるうちはSモードで使ってもらい、心配なくなったらSモードを解除して、通常のWindowsとして、より自由にパソコンを使ってもらうとことが可能です。
ノートかデスクトップか
パソコンを置くスペースをどうするかによって決めていただければ良いと思いますが、今回は「お子さんの初めてのパソコン」がテーマですので、好きな場所で使えるノートPCをおすすめします。
CPU、メモリ、SSD…何を選んだらいいの?
ヨドバシなどのショッピングサイトを見るとCPU、メモリ、SSDなどたくさん項目があって何を選んだらいいかよくわからないですよね。
CPU : パソコンの計算能力を決めるもの
メモリ : CPUが使う一時的な記憶領域(の大きさ)
SSD:かつてハードディスクと呼ばれていたものの代わりで、ファイルなどを保存する装置(の大きさ)
いずれもパソコンの速さ(操作の快適さ)に影響を与えるもので、CPUの性能が高く、メモリが大きく、SSDが大きいものほどお値段も上がっていきます。
これらは、上を見ればキリが無いので「初めてのパソコン」と割り切って、高性能なものを選ぶ必要はありません。
ASUSとかいう知らないメーカーのがあるけど、富士通とかのほうがいいの?
ここで世界のノートPCの出荷台数ランキングを見てみましょう。
Apple以外はすべてWindowsのパソコンを製造販売している会社です。
ASUSは台湾のメーカーで、パソコン、スマホで有名なメーカーです。
ちなみに富士通は2022年上半期で76万台と言われていますので、右の表の四半期で考えるとおよそ半分の38万台程度になると思います。
どのメーカーを選ぶかはお好みで良いと思いますが、何か困った時にネットなどの情報が多い、すなわちユーザー数の多いPCを選ぶほうが安心ですね。
2022年第3四半期のメーカー別PC出荷台数(出典:IDC)
1 | Lenovo | 1,688万台 |
2 | HP | 1,271万台 |
3 | Dell | 1,196万台 |
4 | Apple | 1,006万台 |
5 | ASUS | 554万台 |
「初めてのパソコン」におすすめの機種
ここまでの内容をふまえて、お子さんの「初めてのパソコン」におすすめの機種をいくつか価格ドットコムで選んでみました。
2022年に発売されたモデルであること、性能としてお子さんが使うのに充分なもの、比較的持ち運びしやすいもの、比較的お手頃な価格のものを選んでいます。価格については変動しますので参考程度と考えてください。
表の中の「CPUスコア」はPassMarkというCPUの計算能力を測定するソフトウェアを使って算出されたもので、数字が大きいほど計算能力が高いと考えてください。
メーカー | 型番 | 参考価格 | CPU | CPUスコア (PassMark) | メモリ容量 | ストレージ容量 | OS | 画面サイズ | 重量 |
HP | 14s-fq0000 | ¥34,800 | AMD 3020e 1.2GHz/2コア | 2446 | 4GB | M.2 SSD:128GB | Windows 11 (Sモード) | 14型(インチ) | 1.33kg |
ASUS | E210KA | ¥49,800 | インテル Celeron N4500 1.1GHz/2コア | 2004 | 4GB | eMMC:128GB | Windows 11 Home(Sモード) | 11.6型(インチ) | 1.088kg |
Renovo | IdeaPad Slim 170 | ¥57,860 | インテル Celeron N4120 1.1GHz/4コア | 2521 | 8GB | M.2 SSD:256GB | Windows 11 Home | 15.6型(インチ) | 1.54kg |
ASUS | VivoBook Flip 14 TP470EA | ¥57,251 | 第11世代 インテル Core i3 1115G4 3GHz/2コア | 6192 | 4GB | SSD:128GB | Windows 11 Home(Sモード) | 14型(インチ) | 1.63kg |
Dell | Vostro 3420 | ¥61,680 | 第11世代 インテル Core i3 1115G4 3GHz/2コア | 6192 | 8GB | M.2 SSD:256GB | Windows 11 Home | 14型(インチ) | 1.48kg |
[参考] NEC | LAVIE Direct N15(A) | ¥52,800 | AMD 3020e 1.2GHz/2コア | 2446 | 4GB | SSD:256GB | Windows 11 Home | 15.6型(インチ) | 2.2kg |
[参考] 富士通 | FMV LIFEBOOK AHシリーズ WA1/F3 | ¥83,800 | 第10世代 インテル Core i5 10210U 1.6GHz/4コア | 6323 | 8GB | SSD:256GB | Windows 11 Home | 15.6型(インチ) | 2kg |
[参考] Apple | MacBook Air 13.6 M2 2022 | ¥137,302 | Apple M2チップ 8コア | 9572 (参考値) | 8GB | SSD:256GB | macOS | 13.6型(インチ) | 1.24kg |
どれが良いかについては、保護者の皆様ごとに判断が異なると思いますが、同程度の性能でも国産のWindows PCのほうが割高な印象がありますね。
MacBookは性能が高いので横並びに比較できませんが、かなりのお値段しますね…。
終わりに
繰り返しになってしまいますが、お子さんから「パソコンが欲しい」と言われたら、「これは滅多にない貴重なチャンスだ」と考えてください。
PCの購入を通して、ぜひお子さんの夢をたくさん聞いてあげてくださいね。