会社に居続ければ自然と昇給する時代は終わろうとしている
「仕事は大変だし、いまいち活躍できていないけれど、このまま会社に居続ければ年功序列でお給料は上がっていくはず。程々に頑張ればいいや。」
そんな思いでお仕事をされている方もいらっしゃるかもしれませんね。
これからはそういった、毎年決まった昇給がある会社は無くなっていくというお話しです。
労働組合がある会社では、今、労使交渉が本格化しています。
毎年、ベースアップ(ベア)といって、「会社にいればお給料が上がる」仕組みがあります。
ちなみに、2019年のベースアップ(ベア)は平均6,820円でした。
三菱UFJ銀行の新たな取組み
2月10日の日経のニュースで、三菱UFJ銀行はこうしたベースアップの仕組みを廃止する方向に進んでいると報じられました。
これまで、組合が会社と賃上げ交渉する時、基本的にベースアップの金額をどれくらいにするかを議論してきました。
ベースアップは、全ての社員の給与を前の年の数パーセント上乗せする仕組みですので、全員、一定の昇給があって、長く会社にいれば、(たとえどんな仕事ぶりでも)自然と給与が上がっていきました。
いわゆる「年功序列」ですね。
特に日本の銀行は年功序列の性格の強い業界でした。
しかし今年から、三菱UFJの組合はベアに関する要求をやめることにしたそうです。
その代わり、社員全体に支払われる給与+ボーナスの総額について交渉するとのことです。
この「給与+ボーナスの総額」は、社員に均等に割り振られるわけではありません。
つまりこれからは「毎年の昇給もボーナス額も、社員の仕事の評価で変化する」ようになるわけです。
この仕組は、「優秀な人材により多くの給与を割り振り、一方で仕事ができないオジサンには居てもらなくて結構です」というメッセージに見えますね。
22歳の社員が40歳になったときに受け取る給与は大きく変化する
ここでひとつ計算をしてみましょう。
2000年に22歳だった人が40歳の時に貰える給与を計算してみます。
2000年の平均初任給は20万円、毎年春の賃上げの割合は、厚生労働省 「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」のデータによると2000年以降は2019年までほぼ2%です。
年間のボーナスを、給与の5ヵ月分として試算してみます。
2000年に初任給20万円で働き始めた人は、40歳で年収478万円になります。
2018年の平均年収が420万円と言われていますので、少し高めの計算になります。
では、毎年の昇給が3%の人と1%の人はそれぞれどうなるでしょう?
昇給3%の人はボーナスを5.5ヶ月分、昇給1%の人はボーナス4.5ヶ月として試算しました。
なんと、毎年3%の昇給をする人は40歳の時の年収が587万円、毎年1%の人は388万円で、約200万円も違ってきます。
たった3%と1%と毎年のボーナス1ヶ月分の違いですが、22歳から40歳までの総額は1800万円の差になります。
以前、様々な有名企業がテクノロジーに強い人材には新入社員であっても高い給与を支払うようになるという記事を書きました。
三菱UFJ銀行も同じように、こうしたテクノロジーに強い人材にはより多くの給与を割り振ることになるとされています。
日本の経済は、少子化、高齢化を背景に縮小していきます。
楽しいことや楽なことだけを選んで、自分の成長につながるような努力をしない人に企業は高い給与を支払うことはありません。
時代の変化はすでに起きています。
今のうちに何をすべきなのか、じっくり考えてみてください。